小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―

第17話 義兄妹の契《ちぎ》り

第17話 義兄妹の契《ちぎ》り(1/5)


 シャオレイは、申し訳なさをにじませつつ、媚びを極力削って言った。
「あの……これからも協力してくれる?」
 その声は控えめで、どこか甘えるようでもあった。

 フェイリンはその仕草に、思わず胸を突かれ、理性がきしんだ。だが、わずかににじむ“演技”が、フェイリンの感情を逆撫でした。
(また、こいつはそうやって……)

 次の瞬間、フェイリンは無言で膝をついた。腰の佩玉が小さく揺れる。そのまま拱手《きょうしゅ※》して、静かに言った。 [※両手を組んだ敬礼]
「協力は当然。そなたに二度も命を救われたから、せめてもの恩返しだ。
――礼のひとつも述べていなかった。俺の失態だ」

 意外なフェイリンの仕草に、シャオレイは眉を上げた。今になってフェイリンからこうして礼を受けるとは、思っていなかった。
(たしかに逃亡中は、余裕がなかったけど……)
 だが、次のフェイリンの行動に、シャオレイは息をのんだ。

 フェイリンはシャオレイへ身を屈めて、地面に額を近づけたのだ。
 丁重に、真っすぐ――まるでシャオレイを崇拝するかのように。

 シャオレイは固まったまま、フェイリンを見下ろしていた。
 武人が女へ跪拝《きはい※》をするなど、あり得ないことだからだ。――いくらシャオレイが命の恩人とはいえ。 [※ひざまずき、身を屈めて拝むこと]

 やがて、フェイリンはゆっくりと立ち上がった。

 フェイリンと目が合った瞬間、シャオレイの心臓が跳ねた。

 焼けるようなフェイリンの視線。だが、その裏にあるものは、激情ではなく――覚悟だった。

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