小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第19話 溺愛の裏の疑い(4/5)




 シャオレイはロウ侍医に診察を受けたあと、着替える間もなくゼフォンに聴き取りをされていた。

 ゼフォンはシャオレイの隣に腰かけて、尋ねた。
「それで、刺客のことだが……」

「その前にこれを……。あなたへ渡すように、刺客から言われたの」
 シャオレイは、フェイリンから預かった文《ふみ》をゼフォンに差し出した。

 ゼフォンは封緘《ふうかん》を破って筒から文《ふみ》を出し、目を通した。

『七夕の夜、我らが刃を向けたのは“ひとりの女”ではない。
貴殿の背後で、正義を歪める者たちだ。
影武者を使うとは、実に用意がいい。
だが、次はそうはいかぬ。

貴殿が「ラン家」と対立しているならば、邪魔はすまい。
それとも、我らの標的と貴殿は、同じ顔をしているのか?
見極めよ。誰が、誰の敵か』

 ゼフォンは息をついた。
(ラン家を討つ邪魔をするな――と言うことか。
ふん……予だって毒婦一族を排除したいのだ。
だが、その役目を刺客などに許すわけにはゆかぬ。
……カナリアが無事に戻ってこれたのは、伝令役を負わされたからか)

 シャオレイは、ゼフォンの様子をうかがっていた。
(なんて書いてあったのかしら……)

 ゼフォンは文《ふみ》をチャオ内侍に渡して片づけさせ、シャオレイの肩を抱いて言った。
「刺客はどんな奴だったのだ?」

「……若い男だったけど、顔を隠していたからよく分からなくて。
私、途中から目隠しをされて、馬車に乗せられて……。
装飾品をすべて差し出して命乞いしたら、あの文《ふみ》を刺客に渡されて、郊外の平原で解放されたの。
そこから歩いて……近くの村へ」

 シャオレイはそう言いながら、ゼフォンの顔色をうかがっていた。
(見抜かれてしまうかもしれない。
でも、信じてほしい。
あなたを守りたい――ただ、それだけなの)

 わずかに緊張が混じったシャオレイの声。それが、ゼフォンの胸をざわつかせた。
(命乞い……?それだけで済むものか?)

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