仲良し家族は嘘だらけ⁉
「ちょっとかじった程度だけどね」

 それは初耳だ。

 そういえば、斗真くんとはよく話すけど、彼のことあんまりよく知らないかも。

 休日に何するかも聞いたことなかったし。

 斗真くんに柔道のイメージはなかったな。少し意外だ。

 だけど私の周りで柔道をやってる人はいなかったから、ちょっと嬉しい。

「うんっ、やりたいやりたい! 最近思うように体動かせなくて困ってたんだ」

「そうなんだ?」

 斗真くんが面白そうにふふっと笑う。

「じゃあ、決まりだね。また僕から連絡するよ」

 斗真くんが一歩踏み出して、彼の姿が街灯に照らされた。

 斗真くんは私と同じで制服姿のままだ。

 学校が終わってだいぶ時間がたってるはずだけど、そのまま来たのかな?

「ところで斗真くんはどうしてここに? 家の方向、こっちだっけ」

 不思議に思って問いかける。

 斗真くんは肩をすくめてみせた。

「ちょっと用事があってね。そしたらみくちゃんがいたから」

 たまたまってことか。

 ま、そうだよね。このあたり、さびれているし、学校からちょっと遠いし。

 だから練習場所に選んだわけだけど。

 会ったのが斗真くんでよかった。

 お兄ちゃんや大聖だったらどうしようかと……。

「おじょ……みく! もう遅いだろ、何やってるんだ!」
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