赤く染まった顔、見せたら最後。
たった三十分の婚約破棄までの猶予(ゆうよ)

たった三十分の最後の会話。

修矢さんが身体を起こして押し倒していた私を解放する。

「よし、紗名さん。一緒にお茶でも飲もうか」

「え……」

今さっき時間があまりないと言っていた人と同一人物とは思えないような発言。

「そんな時間あるのですか……?」

ついゲームの相手ながらに私はそう忠告してしまう。

「これも作戦だから大丈夫。ほら、座って」

修矢さんが私をソファの真ん中に座らせて、キッチンで紅茶を入れてくれている。

いつもの光景……たまに婚約者として顔を合わせる時はいつも紅茶を飲みながら話していた。

一方的に私ばかりが近況報告をしていたけれど。
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