赤く染まった顔、見せたら最後。
目の前のテーブルに温かい紅茶が置かれる。

この二つのティーカップが並んでいる瞬間を見るのが好きだった。

修矢さんが私から一人分の間を開けてソファに座る。

いつもの距離感。

「紗名さん、いつもみたいに話して。どんな話でも良いから」

「えっと……」

「もしかしたら僕たちの婚約もあと少しかもしれないんだろう? せめていつも通りの時間を過ごさせてよ」

先ほどまであんなに勝ち気だったのに、まるでもうすぐ婚約を破棄するような言い方の修矢さんに胸がギュッと締まったのが分かった。

自分から婚約破棄を申し出たのに、私は何をしているのだろう。
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