神様はもういない
彼の一生分の後悔が、言葉の粒が、横なぶりの雨のように降り注ぐ。
湊に「ごめん」と言われるたびに胸が軋んだ。だけど、その言葉の裏側にひしひしと感じたのは、私に対する彼の愛だった。
こんなにも湊は私のことを愛してくれていたんだ。
だからこそ、後悔が水溜りのように溜まって、がんじがらめになっていたんだな——……。
湊からそっと身体を離す。彼の顔をよく見たかったから。すっと離れていく体温を名残惜しく思いながら、それでも彼に伝えたい言葉をゆっくりと口にする。
「湊を好きでいられるだけで、私は幸せだよ」
湊の顔に驚きと切なさと喜びが混じったかのような色が滲む。
彼の後ろに見える川面には、きらきらと街明かりがゆらめく。ビルの明りが反射して黒光りする水面を見ていると、かつて二人でここで並んで語らい合った日を思い起こさせた。
「ありがとう……そう言ってもらえるだけで、俺は幸せ者だな。あゆりの元に戻ってきて良かったって思えるよ」
先ほどまで、沈んでいた気持ちがようやく前を向いたかのように、湊が微笑みながら言った。
「本当に伝えたかったのは『ごめん』じゃなかった。俺、あゆりに感謝を伝えたかったんだ。こんなにも俺を好きになってくれてありがとうって。だからさ……俺、たとえあゆりが俺のことを忘れても、あゆりが幸せならもうそれで十分だって思える。そう思わせてくれたのもあゆりだから。本当にありがとう。それから、幸せになって。俺がいなくても、雅也と一緒に」
湊に「ごめん」と言われるたびに胸が軋んだ。だけど、その言葉の裏側にひしひしと感じたのは、私に対する彼の愛だった。
こんなにも湊は私のことを愛してくれていたんだ。
だからこそ、後悔が水溜りのように溜まって、がんじがらめになっていたんだな——……。
湊からそっと身体を離す。彼の顔をよく見たかったから。すっと離れていく体温を名残惜しく思いながら、それでも彼に伝えたい言葉をゆっくりと口にする。
「湊を好きでいられるだけで、私は幸せだよ」
湊の顔に驚きと切なさと喜びが混じったかのような色が滲む。
彼の後ろに見える川面には、きらきらと街明かりがゆらめく。ビルの明りが反射して黒光りする水面を見ていると、かつて二人でここで並んで語らい合った日を思い起こさせた。
「ありがとう……そう言ってもらえるだけで、俺は幸せ者だな。あゆりの元に戻ってきて良かったって思えるよ」
先ほどまで、沈んでいた気持ちがようやく前を向いたかのように、湊が微笑みながら言った。
「本当に伝えたかったのは『ごめん』じゃなかった。俺、あゆりに感謝を伝えたかったんだ。こんなにも俺を好きになってくれてありがとうって。だからさ……俺、たとえあゆりが俺のことを忘れても、あゆりが幸せならもうそれで十分だって思える。そう思わせてくれたのもあゆりだから。本当にありがとう。それから、幸せになって。俺がいなくても、雅也と一緒に」