そんな夢ならもう一度会いたい
「あぁっ、待ってよ!」

急にくるっと方向を変えた17歳の門倉先生が歩き出したから。

「ちょっと待って…ください!勝手に帰ろうとしないでっ」

「……。」

「…え?」

そんなじーっと見られても、何か言って…

「勝手にも何も、お前がぶつかって来たんだろ」

「えっ」

「オレは帰るとこだったんだよ、用がねぇーなら帰る!」

「…!」

あ、これは私が迷惑かけたことになってる!?
門倉先生(17)的には急にぶつかって来たってことに…

そうだよね、まさか過去から来た奴が目の前にいると思わないよね。私もまだ思ってないもんね!?

しかも門倉先生(27)はここにいないからタイムスリップして来たのはたぶん私だけ…

そっか、そうなんだ。

私だけこんなことになっちゃったんだ。
私1人だけこんなことに…

ふいっと視線を逸らしてまた前を向いた。私に背を向けて歩き出した。

置いていくみたいに、歩き出すからー…

「待って、ください…!」

呼び止めちゃった、その背中に。きゅっとスカートの裾を掴んで。

「あの…」

静かに足が止まった、決して振り返ってはくれなかったけどたぶん聞いてはくれてる。

私だってどうしてこんなことになったのかわからない。突然知らない世界にやって来て、どうしたらいいかもわからない。
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