ハイスペ御曹司で年下幼馴染の山田一郎が誘ってくる送迎を断ったら、とんでもない目に遭った件
助けて
頭の中で警戒音が鳴る。
「日田茉莉だな」
確認するようにもう一度男が言った。
私は本能的に体を引いた。
が男の動きは早く、野太い手に私の手首はがっしりとつかまれてしまった。
男の手にギリギリと力が入っていく。
「は、離して……!」
つかまれた感触から、あの事件の恐怖が再燃する。
誘拐されそうになった昔の体験が、昨日のことのように生々しく蘇った。
怖いよ! 誰か助けて……!
そのときだった。
「この野郎っ! 茉莉に触れるな!」
聞き慣れた声が聞こえ、私をつかむ男の手が離れた。
私を追って駆けつけた一郎が男の右腕をひねり上げ、私から引きはがしたのだ。
「茉莉、離れてろ!」
武道有段者の一郎が慣れた動きで男を地面に抑えつけようとしたとき、男が光るものをポケットから取り出した。
ナイフだ。
一郎はあわてて飛び退り、私を守るように男の前に立ちはだかった。
「山田一郎だな? 若造のくせに調子に乗りやがって……!」
そう言った後、男はわけのわからないことを口走り、刃を一郎の体に突き立てようと突進した。
ところが信じられないことに、一郎は身じろぎひとつしなかった。
嫌な音が聞こえ、一郎の腹部にナイフが――!
「一郎!!!!」
「日田茉莉だな」
確認するようにもう一度男が言った。
私は本能的に体を引いた。
が男の動きは早く、野太い手に私の手首はがっしりとつかまれてしまった。
男の手にギリギリと力が入っていく。
「は、離して……!」
つかまれた感触から、あの事件の恐怖が再燃する。
誘拐されそうになった昔の体験が、昨日のことのように生々しく蘇った。
怖いよ! 誰か助けて……!
そのときだった。
「この野郎っ! 茉莉に触れるな!」
聞き慣れた声が聞こえ、私をつかむ男の手が離れた。
私を追って駆けつけた一郎が男の右腕をひねり上げ、私から引きはがしたのだ。
「茉莉、離れてろ!」
武道有段者の一郎が慣れた動きで男を地面に抑えつけようとしたとき、男が光るものをポケットから取り出した。
ナイフだ。
一郎はあわてて飛び退り、私を守るように男の前に立ちはだかった。
「山田一郎だな? 若造のくせに調子に乗りやがって……!」
そう言った後、男はわけのわからないことを口走り、刃を一郎の体に突き立てようと突進した。
ところが信じられないことに、一郎は身じろぎひとつしなかった。
嫌な音が聞こえ、一郎の腹部にナイフが――!
「一郎!!!!」