契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~
八章 守りたい人に愛を込めて
 二月も半ばが過ぎた頃。
 私は侑李さんの家に移り住み、二人暮らしが始まった。


 つわりが続いているため、仕事は短時間だけ家政婦として業務をこなし、残りの就業時間は内勤をしている。
 これは、さっちゃんの配慮だった。
 今、花本パートナーサービスに所属している家政婦は、四十代以降が多い。
 ただ、以前は若い女性や妊娠中のスタッフも何人かいたのだとか。


 産休と育休に入るまでは、そう何度も休めない。
 もちろん、うちの会社にも有休はあるし、治療が必要なほどつわりが深刻な場合は傷病休暇を使うこともできる。
 けれど、私のようにそこまで症状が重くないスタッフもいる。
 そういう人たちに、さっちゃんがこういった方法を提示してきたようだ。


 私も、つわりが落ち着くまでは内勤に就かせてもらうことにした。
 おかげで、いつでもトイレに駆け込め、少しくらいなら昼休み以外でも休憩できる。
 気がラクになったのもあるのか、最近はわずかにつわりが軽くなって比較的快適に働けていた。


 そして、もうひとつ。
 彼が家政婦を雇うのを辞めた。

< 158 / 187 >

この作品をシェア

pagetop