契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~
* * *
桜が芽吹いて春が訪れ、あっという間に新緑の季節になった。
ゴールデンウィークも一週間以上前に終わった今、お腹がすっかり目立っている。
出産予定日まで三か月を切り、つわりが落ち着いたと思ったらマイナートラブルに見舞われているけれど、その都度ネットで調べては解決していく日々だ。
仕事も少しずつ制限が出てきたとはいえ、家政婦としても働けている。
大量の買い物や食事作り、広すぎる家の掃除などや重い物を持つのは難しいけれど、そういったことを調整してもらいながらこなしていた。
家事は、侑李さんと分担している。
家にいる時間が長い私が率先するようにしているけれど、彼は私の負担を減らすために休日はすべて担ってくれていた。
「荷造り、だいぶ進んだな。あとは来週の休みでどうにかできるだろ」
カフェの一角でそう言った侑李さんに、笑顔で頷く。
「はい。私が引っ越してきた時、つわりで荷解きがあまりできなかったけど、今にして思えばラッキーでした」
「確かにそうだな。あとは俺の仕事関連の荷物ばかりだし、那湖はゆっくりしてて」
「座ってできることなら大丈夫ですし、私が見ても構わないものなら手伝います。一緒にやった方が早いですし」
「ありがとう」
その後も引っ越しの件で話していると、侑李さんのスマホが鳴って彼が離席した。
私は外に出ていく後ろ姿を見ながら、荷解きも大変だろうな……と苦笑を漏らす。