旦那様に「君を愛する気はない」と言い放たれたので、「逃げるのですね?」と言い返したら甘い溺愛が始まりました。
セルト様がもう一度私に口付けをした。






「レシール。負けを認めてくれ」






そう話したセルト様の表情すらよく見えない。

もうそんな余裕はなかった。

だって私はセルト様の前に誰かと婚約を結んだことはない。

だから、この口付けだって初めてだった。

そしてその時、セルト様の後ろにある鏡台が目に入った。

少し態勢を上げた私の顔をよく映っている。

頬を赤く染めて、目を潤ませて震えている、私の顔が。

私はそんな自分の顔を見られるのが恥ずかしくなり、セルト様を押して起き上がり、部屋を飛び出そうとする。
< 22 / 44 >

この作品をシェア

pagetop