旦那様に「君を愛する気はない」と言い放たれたので、「逃げるのですね?」と言い返したら甘い溺愛が始まりました。
リーナと二人で扉の方に顔を向けるとセルト様が立っている。

「セルト様……!?」

「すまない、ノックしたのだが返事がなかったので」

しかしセルト様の表情は申し訳なさそうではなく、どう見ても怒っていた。

その怒りの顔を見て、私は自分の先程の言葉を思い出す。



『だって、もっと前から沢山口付けをしておけば……!』



確かに妻が言っていたら駄目なセリフだろうが、私たちは政略結婚のはず。
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