私をフッた元上司と再会したら求愛された件
一条さんと一緒に駅まで向かう最中も、頭は戸川さんのことでいっぱいだった。
戸川さんの言葉を信じられずにいるのに、ご飯に誘われたくらいでこんなに浮かれてしまう自分が滑稽だ。もしかして、性懲りもなくまた彼を好きになってしまっているんだろうか。私、流されやすすぎる……。
「なんかボーッとしてるね」
揶揄うような声が隣から聞こえてきて、ハッと我に返った。一条さんの存在をすっかり忘れていた。
「戸川くんとの飯はいつ行くの?」
「えっ?! いや、えっと……」
行くかどうかはわからない。……いや、嘘かも。気持ち的には八割くらい行くつもりだった。でもそれをバカ正直に一条さんに告げるのは恥ずかしい。戸川さんにもまだ返事をしていないのに。
口ごもっていたら、道路を挟んだ反対側の歩道に戸川さんの姿を見つけた。なんという偶然。胸が弾んだのも束の間、彼が隣に立つ女性と話をしているのに気がついた。彼女の整った横顔が視界に入った瞬間、私は頭を強く打たれたような衝撃に見舞われた。
「油井、さん……?」
声に出したら確信に変わった。以前私が勤めていたコンサル会社――プログレッシブ・コンサルティングの先輩だ。私の密かな憧れで、戸川さんの元恋人。
心臓がさっきとは違う感触で脈を打つ。首筋に流れるのは冷や汗だ。
思わず足を止めてしまい、食い入るようにふたりを見つめる。何を話しているんだろう。ヤキモキしていたら、破顔した油井さんが戸川さんに抱きついた。
「園崎? どうかした?」
一条さんの声がして、体から離れていた意識が戻った。そうだ、私、一条さんと一緒に帰っていて……それなのに立ち止まっちゃっていた。
戸川さんの言葉を信じられずにいるのに、ご飯に誘われたくらいでこんなに浮かれてしまう自分が滑稽だ。もしかして、性懲りもなくまた彼を好きになってしまっているんだろうか。私、流されやすすぎる……。
「なんかボーッとしてるね」
揶揄うような声が隣から聞こえてきて、ハッと我に返った。一条さんの存在をすっかり忘れていた。
「戸川くんとの飯はいつ行くの?」
「えっ?! いや、えっと……」
行くかどうかはわからない。……いや、嘘かも。気持ち的には八割くらい行くつもりだった。でもそれをバカ正直に一条さんに告げるのは恥ずかしい。戸川さんにもまだ返事をしていないのに。
口ごもっていたら、道路を挟んだ反対側の歩道に戸川さんの姿を見つけた。なんという偶然。胸が弾んだのも束の間、彼が隣に立つ女性と話をしているのに気がついた。彼女の整った横顔が視界に入った瞬間、私は頭を強く打たれたような衝撃に見舞われた。
「油井、さん……?」
声に出したら確信に変わった。以前私が勤めていたコンサル会社――プログレッシブ・コンサルティングの先輩だ。私の密かな憧れで、戸川さんの元恋人。
心臓がさっきとは違う感触で脈を打つ。首筋に流れるのは冷や汗だ。
思わず足を止めてしまい、食い入るようにふたりを見つめる。何を話しているんだろう。ヤキモキしていたら、破顔した油井さんが戸川さんに抱きついた。
「園崎? どうかした?」
一条さんの声がして、体から離れていた意識が戻った。そうだ、私、一条さんと一緒に帰っていて……それなのに立ち止まっちゃっていた。