私をフッた元上司と再会したら求愛された件
「ごめん。今、結構余裕なくて、かなりかっこ悪いと思う……」

「ううん。そんなことないです……」

 余裕がないのは私も一緒だ。さっきから心臓が爆ぜてしまいそうなくらい高鳴っている。

「これからおうちに伺っていいですか?」

「うん、もちろん」

 少年みたいに歯を見せて笑った戸川さんが手を差し出す。おずおずその手を重ねると、戸川さんの体温がダイレクトに伝わってきた。

 戸川さんの手を繋いで歩いているなんて信じられない。意識もふわふわしていて、本気で夢じゃないかと思うくらい。

 街灯に車のヘッドライト、居酒屋のネオン。いつも眩しいだけだと思っていた夜の街を照らす光も、今日だけは幻想的に見えた。
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