私をフッた元上司と再会したら求愛された件
「お、おじゃまします……」
 緊張でガチガチになりながら、私は戸川さんの部屋に足を踏み入れた。

 私の狭いワンルームマンションと違って、1LDKの戸川さんの部屋は広く、ふたりがけの丸いダイニングテーブルとソファがある、ちゃんとした部屋だった。

 ソファの前のローテーブルの上には巨大なケージが置かれていて、私は中をよく見ようと、ソファには座らず前にしゃがみ込んだ。えだまめちゃんがせっせと回し車を回している。写真で見るより、金色の毛並みがずっときれい。

「触ってみる?」

 私の隣に立っていた戸川さんがそう訊ねたけど、私は遠慮した。ハムスターは警戒心の強い生き物だ。突然来た知らない人間が触れてきたら、きっとストレスになってしまう。

「また今度、えだまめちゃんが私に慣れてくれたら、触ってもいいですか?」

 すると、なぜか戸川さんが相好を崩した。

「また来てもいいって思ってくれてるんだ?」

「あ……」

 今度は私の顔が赤くなる番。私、なんて大胆なことを。羞恥で俯いていると戸川さんもしゃがみ込んだ。
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