私をフッた元上司と再会したら求愛された件
「園崎、仕事やりづらかったりしない?」

「えっ?」

「今日もひとり残って作業してるし、割とひとりでタスクを抱え込みがちだろ? 他のメンバーには頼みにくいとかある?」

 もしかして私を心配してくれたから、一緒に残ってくれたんだろうか。居合わせたのは単なる偶然ではなかったのだと悟って、私はまた申し訳なくなった。

「い、いえ。ただ単にいつも仕事が遅くて先輩方に迷惑かけてしまってるんで、せめてこれくらいはと思って……」

 言いながら惨めさが募る。このプロジェクトで一番活躍できていないのは自分だ。まだ二年目だからとか、そんなのは言い訳にもならない。

「園崎はよくやってると思うよ」

 居た堪れなくて俯いた私だったけれど、降ってきた意外な励ましに驚いてハッと顔を上げた。

「まあ、仕事は早い方じゃないと思うけど、その分丁寧だろ? クライアントの要望をしっかり理解してるから、意見も的を得てる。そういう園崎の視点にはすごい助かってるし、俺以外のメンバーもそう思ってるよ」

 まさかの褒め言葉。思わず視界が潤みそうになった。

「だからそんな風に自分を卑下するな。それでパフォーマンスが落ちるのは、チームにとってもマイナスだから」

「は、はい……ありがとう、ございます」

 上司として、部下のメンタルマネジメントをしてくれているだけなのはわかっている。でも、これまでそんな風に私を褒めてくれた人はいなかった。

 さっきからずっと鼓動は鳴り止まない。この感覚には覚えがある。

 ダメだ……私、これ、戸川さんのこと好きになってる、気がする……。

 戸川さんに憧れているのは確かだけれど、それは異性としてではなく、社会人として仕事ができる彼に憧れを抱いているのだと思っていた。
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