婚活!~絶対幸せになれる婚、探してます~
「仲間が働いてる店だから大丈夫。さっきの金、仲間に借りて返すよ」

そう言われてぐらりと心が揺れる。

これ以上、関わりたくない気持ちはあるが、さっきのお店の支払い、結構したんだよなあ。彼がビールをがばがば飲んだから、ふたりで一万円以上かかってしまった。お金は返してほしいなあ……。

物欲に目がくらみかけるも、我に返り思考を振り払う。

一万円より身の安全の方が大事だ。どんなところに連れていかれるかわからないのだから。

『知らない男にほいほいついていくな』――聖澤さんにそう言われたばかりではないか。

「すみません、今日のところはこれで」

「ええー。つれないこと言うなよ、これからじゃん」

にやりと笑って歩き出す田口さん。酔っぱらっているのか、無遠慮に腕を引かれて転びそうになる。

「あ、あの、痛いので離してください」

抵抗すると、振り向いた彼の形相は別人になっていた。

「さっきからピーピーうるせえなあ。黙ってついてこいって言ってんだよ」

荒々しい怒声にサッと血の気が引く。

悪人ではなさそうだからと能天気に考えていた自分の甘さを恥じた。嘘をつかれた時点で疑わしいと、すぐに帰るべきだったんだ。

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