二度と恋はしないと決めたのに~フライトドクターに娘ごと愛されました~
深く頭を下げた千咲に、『頭を上げなさい』と武志の優しい声が届く。
『ふたりが心から想い合っているのなら、僕たちに反対する理由はないよ。実は櫂の兄の結婚に思うところがあってね、試すような言い方をしたのを許してほしい』
そして、改めて『千咲さん。櫂を選んでくれて、ありがとう』と言葉をかけてくれたのだった。
「紬、パパにもゾウさん『どうぞ』してあげて」
「あいっ! じょーしゃん、じょー」
ゾウのぬいぐるみを櫂の頬にぐいぐい押し付ける紬に笑っていると、櫂が目を見開いてこちらを見ている。
その理由がわかるからこそ、千咲はなんだか気恥ずかしい。
「⋯⋯千咲、今、俺をパパって」
櫂と家族になると決意し、一緒に住み始めたものの、まだ紬に櫂を『パパ』だと教えてはいなかった。
けじめとして、きちんと櫂の両親に挨拶をして認めてもらってからだと決めていたのだ。