二度と恋はしないと決めたのに~フライトドクターに娘ごと愛されました~

もうあと一年もすれば、自分にパパがいない環境に気づき始める年齢になる。そんなタイミングで櫂に再会したのは、なにかの啓示なのではと考えてしまう。

すると、櫂は千咲に向き直った。

「まさか千咲が未依の友人だったなんてな」
「私も驚きました」
「病院には、糸井さんの見舞いに来たんだっけ」
「はい。あの時、落とし物をされていて、それを届けにいったんです。思っていた以上にお元気そうで安心しました」

これまで救急車で病院に運んだ傷病者について、千咲がその後の経過を知ることは滅多になかった。搬送されて一命を取り留め、元気に回復している患者を目の当たりにすると、改めて救急現場の仕事の重要性を感じられる。

今回の糸井の件に関しては、救急車で搬送していたら手遅れになっていた可能性もある。ドクターヘリの功績の大きさは計り知れない。

「彼とは、あの場で初めて会ったと言っていたが」
「糸井さんは祖母の昔の教え子で、お墓参りに来てくれたんです。色々お話を聞いていた時に、急に倒れられて」
「そうだったのか」

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