二度と恋はしないと決めたのに~フライトドクターに娘ごと愛されました~

意味がわからず、千咲は首をかしげた。

「千咲は、未依が結婚しているのを知ってるんだよな?」
「詳しい事情は知らないんですけど、その、かなり昔に同情で入籍してもらったって⋯⋯」
「あぁ、本人はそう思い込んでる。あの日、俺の兄が近い内に帰国できそうだと連絡があった。それを知った未依が、俺に『離婚する』って報告の電話をかけてきたんだ」
「えっ!」

櫂は当時を思い出すように事情を説明してくれた。

「結局、兄貴は帰ってこられなくて離婚の話は伝えられなかったみたいだけど⋯⋯。未依も色々思いつめてて、俺はなんとか彼女を踏みとどまらせようと必死だったんだ」
「で、でも、病院にいるって嘘を⋯⋯」
「離婚の相談をしてきた相手に、やっと手に入れた好きな女性とホテルにいるなんて言えないだろ」

思ってもみない返答に、千咲は言葉を詰まらせる。

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