二度と恋はしないと決めたのに~フライトドクターに娘ごと愛されました~
「俺に既婚者なのかと確かめなかったのは、やっぱり『永遠の愛なんて信じられない』っていうのが原因?」
名前も顔も知らない父と、娘を置いて恋人と家を出ていった母親を持つ千咲にとって、永遠の愛なんて物語の中のものでしかなかった。
あの夜、そんな風に赤裸々に語ってしまったが、まさか二年以上経っているのに覚えていたなんて。
驚く千咲に、櫂は真っすぐな眼差しを向けてくる。
「覚えてるよ。言っただろ、千咲が抱えているものを、俺も一緒に背負うって」
その言葉とともに、悲しみを奪うように口づけられたのを、昨日のことのように思い出す。
恋愛に興味の薄かった千咲の心が櫂へと傾いていったのは、真摯で誠実な性格に惹かれたからだ。
それは仕事中も同じ。
千咲たち救命士が傷病者を病院へと搬送し、救急医に引き渡す時、櫂は『全力を尽くす』と言って引き受けてくれる。