二度と恋はしないと決めたのに~フライトドクターに娘ごと愛されました~

決して『絶対に助ける』とは言わない。救命の現場に『絶対』はないからだ。

真剣に患者に向き合う姿にどれだけ尊敬と憧れの気持ちを抱いていたか、どれだけ頼もしく感じでいたか、今もありありと千咲の胸に残っている。

彼はできないことは言わない。守れない約束はしない。そういう櫂だからこそ、千咲は『この人とならば恋ができるかもしれない』と心を寄せたのだ。

「救急車が来るたび、千咲が乗ってるんじゃないかって探してた。振られたんだって諦めようとしたけど、どうしてももう一度会いたかったんだ」
「⋯⋯私はもう、救急車には乗ってないんです」

そう俯くと、櫂が目を瞠る。

「そうか。子供を育てながら救命士の仕事をするのは大変だよな」

それだけが原因ではないけれど、千咲はなにも言わなかった。

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