二度と恋はしないと決めたのに~フライトドクターに娘ごと愛されました~
(どんな叱責をされても、勝手な行動を咎められても、紬を守り抜くって決めたのは私なんだから)
そう覚悟を決めて顔を上げたが、櫂の顔に怒りや呆れの色はなく、ホッとしたような安堵の表情を浮かべている。
「よかった。君に再会できたのは運命だと思ってる」
「先生⋯⋯?」
その真意を聞こうとしたところで、パンケーキを食べ終えた紬がぐずりだした。
「あーうっ、ううぅー」
「あっ、ごめん、紬。食べ終わって退屈になっちゃったんだね」
これまではずっと隣で大人しく座ってくれていたが、さすがに長く外出していたため疲れてしまったのだろう。じっとしていられない様子の彼女に限界を悟り、千咲は紬を膝の上に抱き上げた。
「ごめんなさい。そろそろ⋯⋯」
「あぁ、長い時間とらせてごめん。今後の話もしたいし、連絡先を教えてほしい」
「紬のことは、私があなたに黙って生むと決めたんです。勝手なことを言っているのは承知していますが、責任を感じていただかなくても――」
「そうじゃない。俺が千咲と紬といたいんだ」