二度と恋はしないと決めたのに~フライトドクターに娘ごと愛されました~

だからこそ、時間をかけて関係を深めていければいいと思っていたが⋯⋯。

待ち受けていたのは、突然の別れ。

幼なじみからかかってきた電話のついでにシャワーを終えてベッドに戻ると、千咲は忽然と姿を消していた。

連絡先もわからず、恥を忍んで彼女の職場へと行ってみたが、どうやら異動になったらしい。けれど家族でもないため異動先までは教えてもらえず、千咲とはそれっきり会えていない。

振られたのだと落胆し、それまで以上に仕事に没頭した。

奇しくもその頃、新たにドクターヘリのチームを作るからうちに来ないかと、総合医療センターの院長をしている父から話があり、フライトドクターという職業に興味があった櫂はそれに応じて転院。千咲との唯一の繋がりだった病院の救急科を離れ、再会は絶望的だと思われた。

そうして二年が経ったあの日。彼女は唐突に櫂の前に現れたのだ。

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