二度と恋はしないと決めたのに~フライトドクターに娘ごと愛されました~
二年ぶりに会った彼女は、相変わらず綺麗だった。さほど濃くないメイクは元々の整った顔立ちを際立たせ、シンプルな服装が彼女のスタイルのよさを際立たせている。
仕事中だったが、内心は驚きでいっぱいだった。見惚れている場合ではないけれど、つい彼女に視線がいってしまう。
そして彼女のすぐそばにいる小さな女の子に気づき、結婚しているのかと絶望した。けれど彼女はその男性とは初対面だと言う。
その時、櫂の胸にある希望が浮かんだ。それが憶測ではないと知り、安堵とともに喜びに胸が満たされている。
「え、じゃああの小さい女の子は⋯⋯」
「あぁ。二年前の、あの一夜で授かった俺の子だ」
絶句する沖田に、櫂はくすっと笑みを零す。
「わ、笑ってる場合じゃねぇだろ。どうするんだよ」
「もちろん、千咲と結婚する」
なんのてらいもなく、櫂はきっぱりと言い放つ。