気まぐれヒーロー
「ほ、ほらお父さん!早く行かないと仕事に遅れちゃうよ!?」
とにかく、ハイジの前からお父さん達を遠ざけることが先決!!これ以上ヤツのペースに巻き込まれては危険だ!!
「お、おおそうだったな。じゃあ行ってくるよ」
私が急かすとお父さんは腕時計に視線を落とし、足早に家の門を出て行った。
すれ違い様に「いってらっしゃいませお義父さま」とハイジがぺこりと頭を下げたのに対し、「え!あ、君、日本語うまいなぁ」と感心していた。
いい加減日本人だということに、気づいてほしかった。
「お義母さま初めまして。僕、風切灰次といいます。娘さんとは結婚を前提にお付き合いさせていただいてます」
なっ……
なぁに言い出すんだコイツはああああ!!
さっきまで号泣しながら笑っていたくせに、もうハイジはやけにキメた顔つきでビッと立ち、私のお母さんに迷惑極まりない自己紹介をしだしやがった。
「バ、バカ!!なんてこと言うのよあんた!!全っ然面白くないんだけど!?笑えないわ、笑えないジョークだわ!!」
「おい、俺はいたって真面目だぞ。だってな~、お前の初体験は俺なんだもんな~。責任取らねえといけねーだろ~?」
ムカつく挑発顔で、さらりと言ってのけてくれたハイジ。
どうする?どうやってこの緑の悪魔を殺す?
絞殺?撲殺?毒殺?
その時パッと頭に思い浮かべたのは、ハイジをどんな方法で息の根止めてやろうかということだけだった。それだけが、私の頭を占めていた。
「ちょっともも……どういうこと!?お母さん聞いてないんだけど!なに、あんた外国人の彼氏がいたの!?まだ子供のくせに何ヤっちゃってんのよ!?避妊はしてるんでしょうね!?国際結婚!?あんたアルプスに住むの!?そんなとこでやっていけるの!?ちゃんと連絡取れるのかしら!!おじいさんと仲良くできるの!?お母さんは反対よ、こっちに住むっていうんなら考えてもいいけどね!!」