転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~
「これが私の反対を押し切ってまで、小間物屋の店主と会った理由の品か?」
「はい。すでにお聞きしているとは思いますが、私はこのカードたちに呼ばれ、小間物屋へ行き、そして倒れました」

 だからお父様は、私がタロットカードを手にしている現状に不満なのだろう。険しい顔になった。

「しかし、そのお陰で私は少しずつですが、王宮のこと、この国のことを知ることができました。未だに記憶が戻っていない中、それがどれだけ大きなことか、お父様なら分かってくださると思っています」

 占いを通して、私は彼女たちの悩みの背景、たとえばタリアのように実家からの縁談、貴族間の衝突に巻き込まれた事案など、王宮内で起きている問題を知ることができた。
 また、平民に恋してしまった悩みや、恋人がいるのに、家の貧困になったため、莫大な富で爵位を得た新興貴族に嫁ぐ苦悩。
 さらに以前のリュシアナの評判を知っている者からは、とある大臣からの嫌がらせで左遷されそうだという悩みまであった。

 今の私は、お父様とお兄様に報告して解決できないため、カイルを通して、近衛騎士団長にこっそり報告させていた。ミサとの逢瀬の代わりに、手柄を上げたのだ。
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