転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~
「ふむ。だからカードを取り上げるな、と言いたいのだな」
「はい。それにご覧になったと思いますが、私の占いを求めてくる者たちがいるのです。その者たちを無下にはしたくありません」
「だがな、連日、王女の部屋に列を作るのは、安全上いいとは思えぬ。小間物屋の店主から、それとなく聞いたのであろう。自分の命が狙われていたことを。その免罪として、このカードを手に入れたのだからな」

 ミサが報告していたのだから、驚きはしない。私の部屋の外に騎士を置いたのも、おそらくそれが理由なのだろう。そして、犯人の目星も立っているから、お父様は落ち着いているのだ。

「では、他に部屋を用意してくれるのですか? お父様は私がこの部屋から出ることを、嫌がっているように思っていました」
「今は、な。だが、次期にそれも緩和していくつもりだ。だから、しばらくは辛抱してほしい。無論、それが終えたら他に部屋を設けよう。私もリュシアナに占ってもらいたいからな」
「っ! 本当ですか?」

 まさかの提案に、思わず歓喜の声を上げた。

 実は占いをするに当たって、一つだけ懸念していたことがあった。この世界の占いに対する認識だ。
 ミサやカイル、占ってほしいとやって来る者たちを見れば、この世界では容認されていることが分かる。けれど、それは王宮の中だからだ。
 私はお父様とお兄様の保護下にいるから、命を狙われている現状であっても、こうして平穏な暮らしができている。そう、何も心配することなく、気楽に。
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