転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~
 振り向くお父様に会わせて視線を扉に向けると、なぜかお姉様が立っていた。赤褐色の髪を靡かせ、茶色い瞳で私を射抜くように見つめる。咄嗟にカイルが私の横に並び、さらに緊迫した空気が部屋に漂う。

「何をしにとは心外ですわ。私はただ、お父様と同じでリュシアナの占いが、どのようなものか、気になって来たのです」
「私はリュシアナが心配で来ただけだ。お前と一緒にするな」
「……そうですか。ですが、お父様も気になりませんか? リュシアナの占いの腕がどれほどのものなのか、を」
「何が言いたい」

 冷たく言い放つお父様。しかし私も同じようなことを思っていただけに、お姉様の返事が気になった。

「占ってほしいだけですわ。もうすぐ、ノルヴィア帝国に嫁ぐんですもの。私が幸せになれるのか、占ってもらったっていいではありませんか。ねぇ、リュシアナ。いいでしょう?」

 お父様に向けられる、穏やかな口調と微笑み。けれどその後に続いた言葉に、私は背筋が凍りそうな思いをした。
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