転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~
 ***


「大丈夫ですか? リュシアナ様」

 部屋からお父様とお兄様が立ち去り、ミサも未だに戻らない。おそらく、今日は占いができないことを納得できない人たちが多いのだろう。もしくは、列の整理や受付のような業務がなくなったため、久しぶりに近衛騎士団長のところへ行ったのかもしれない。

 私もずっと悪いと思っていたため、ミサには行けるチャンスができたら行っていいからね、と常日頃から伝えていたのだ。
 だから今、この部屋には私とカイルしかいない。勿論、扉の外には騎士が立っているのだろうけれど……思わず、弱音がポロッと出た。

「ねぇ、カイル。私は甘いのかしら」
「……クラリーチェ殿下のことですか?」
「えぇ。私は記憶がないから、お父様がお姉様を憎む理由が理解できないの。お兄様のように、お母様の記憶があれば、また違ったのかもしれないけれど。なぜか、他人事のように感じられて仕方がないの」

 実際、他人事なのだが。お父様とお兄様に寄り添えないことが、とてももどかしく思えてならなかったのだ。
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