転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~
「占いでは相談者の気持ちに寄り添えるのに、お父様とお兄様にはできない。むしろお姉様に寄り添ってしまう。私は……薄情なのかしら」
「いいえ。それはリュシアナ様がお優しいからです。ご自分の代わりに嫁ぐクラリーチェ殿下に対して、後ろめたい気持ちもあるのでしょうが、俺にはそれだけだとは思えません」
「……同情?」

 おそらく、お姉様が一番嫌う感情だろう。そして私が同情している、なんて知ったらどうなるか。直接、私を殺しに来るかもしれない。

「俺は、クラリーチェ殿下にご自身を重ねているからだと思っています」
「なぜ?」

 するとカイルは跪き、私の両手を掴んだ。

「記憶のないリュシアナ様は、この広い王宮の中で、独りぼっちだとずっと感じていませんでしたか?」
「っ!」
「常に傍にいるミサ殿や俺には普通に接することができても、陛下やユーリウス殿下に対しては、怯えておられるように見えました。しかし先ほどのリュシアナ様は、堂々と意見をされており、まるで以前のお姿のように感じたほどです。これは、独りぼっちだと感じなくなった証拠ではないでしょうか」
「……そうね。今は寂しい、と感じたことはないわ。私の占いを頼りにしてくれている者たちが来てくれるし」
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