転生王女の私はタロットで生き延びます~護衛騎士様が過保護すぎて困ります~
ただ分かっているのは、私がいた世界ではないことと、昔にタイムリープしたわけではないことだ。アルフェリオン王国なんて、聞いたことがない。
けれど唯一、前世の記憶と結びつくものを発見した。これを聞かない方が野暮である。しかし、グレティスの表情は優れなかった。
「お恥ずかしい話、あのカードが店にあったことを知りませんでした。そう、リュシアナ殿下が倒れられた日まで」
「殿下の前で嘘をつくのか!?」
私は手でカイルを制した。
「今の話が本当なら、グレティスはあのカードを仕入れたわけではない。そういうことよね」
「は、はい。その通りでございます」
グレティスは私の意図に気づかず、首を傾げた。その姿に思わず笑いが込み上げてくる。
「ねぇ、そのカードを私に譲る気はない?」
だって目の前に、前世と繋がりのあるものを持っている人がいるのよ。
リュシアナに危害を加えた、といっても、グレティスは主犯ではない。それならば恩情を与え、代わりにタロットカードを貰ってもいいのではないかしら。
「ですが、カードは一枚ではありません。お譲りするわけには――……」
「誰が一枚だといったの? 全部で七十八枚あるはずよ。あなたの罪に比べたら、軽いものでしょう?」
「リュシアナ殿下は……あのカードが何か、ご存知なのですか?」
「っ! なんて無礼な!?」
今度はミサが反応した。王族相手に、質問を質問で返すという愚行。しかし見方を変えれば、咄嗟に判断ができないほど、グレティスが驚いたことを意味する。
つまり、この世界にはタロットカードがない。もしくは存在自体が珍しいことを意味していた。
ふふふっ。これは……ますます欲しいわ。
けれど唯一、前世の記憶と結びつくものを発見した。これを聞かない方が野暮である。しかし、グレティスの表情は優れなかった。
「お恥ずかしい話、あのカードが店にあったことを知りませんでした。そう、リュシアナ殿下が倒れられた日まで」
「殿下の前で嘘をつくのか!?」
私は手でカイルを制した。
「今の話が本当なら、グレティスはあのカードを仕入れたわけではない。そういうことよね」
「は、はい。その通りでございます」
グレティスは私の意図に気づかず、首を傾げた。その姿に思わず笑いが込み上げてくる。
「ねぇ、そのカードを私に譲る気はない?」
だって目の前に、前世と繋がりのあるものを持っている人がいるのよ。
リュシアナに危害を加えた、といっても、グレティスは主犯ではない。それならば恩情を与え、代わりにタロットカードを貰ってもいいのではないかしら。
「ですが、カードは一枚ではありません。お譲りするわけには――……」
「誰が一枚だといったの? 全部で七十八枚あるはずよ。あなたの罪に比べたら、軽いものでしょう?」
「リュシアナ殿下は……あのカードが何か、ご存知なのですか?」
「っ! なんて無礼な!?」
今度はミサが反応した。王族相手に、質問を質問で返すという愚行。しかし見方を変えれば、咄嗟に判断ができないほど、グレティスが驚いたことを意味する。
つまり、この世界にはタロットカードがない。もしくは存在自体が珍しいことを意味していた。
ふふふっ。これは……ますます欲しいわ。