愛を知った日
しばらくプラネタリウムを眺めた後。
「さて、もうそろそろ帰るかな」
その言葉で咄嗟に引き止めてしまった。
「もう帰るの?」
「なに?帰って欲しくないの?」
鳳蝶くんが意地悪そうに笑う。
「もう!分かってるくせに…」
「ごめんごめん。分かったよ。奏が寝るまで帰らない。ずっとそばにいるから」
「本当に?」
「本当だからちょっと端によって」
「えっ?」
「帰らないけど俺も疲れたから一緒に寝る」
鳳蝶くんの衝撃的な言葉を聞いて私は固まった。
「おーい?大丈夫?」
「いや、ここシングルだし狭いし色々繋がってるから」
思わず早口になる。
「当たらないようにするから」
「いや、でも椅子で寝ればいいんじゃないの」
「なんだよ。奏は一緒に寝たくないの?俺は久しぶりに抱きしめて寝たいのに」
「いや…そんなことはないけど…看護師さん来たら怒られるし」
「看護師さんが来る前に帰るから」
鳳蝶くんも引き下がるつもりはないようなので私は諦めてベッドの端までずれる。結局のところ私も鳳蝶くんには弱いし鳳蝶くんに抱きしめてもらうのが好きなのだ。
「ありがとう」
そう言って鳳蝶くんはそっと横になった。2人で寝るとさすがに狭いがまたその狭さも良い。
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