魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 絶え間なく続く嗚咽の中、父はやっとのことで息を整えると、いくぶんかはっきりとした声でそれに応じてくれた。

「……ああ、待っている。……いつでも」

 それを聞いて、私たちは笑みを交わすと……それじゃあまたと、再会を約束してその場から立ち去る。

「きっと、次に会う時は、明るい顔で話ができるさ」
「……はい!」

 スレイバート様の言葉に頷き返すと、私はすっきりした気持ちで木々の隙間からそよぐ夏色の風に身を任せ――そして感じた。
 私の、ひどく個人的な物語に……今ひとつ区切りがついたのだなと……。
 


 それから数日後……ボースウィン領に帰還した私たち。

 本日、私たちはレーフェルの街の中央広場を訪れ、ある真新しい建造物の完成を心待ちにしている。
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