魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「では、新たなる帝国の一歩を祝すとともに……。ここに建立した鎮魂の碑をもって、これまでにこの地を守り旅立つこととなった多くの民たちに感謝を捧げるものとしよう!」

 目の前にある背丈の倍くらいの白い大理石で作られた物体から、ばっとカバーが取り外されると……町長さんの号令で、広場に集まった多くの人々から歓声が上がった。

 それは、見るだけで溜め息をついてしまいそうな、立派で美しい石碑である……。
 表面に描かれているのは、向かい合って仲良く手を繋ぐ、ふたりの少女の姿。この慰霊碑は、私が案を出してスレイバート様に頼み込み、色んな方面から手を借りる形でこちらに建てられることになったものだ。

 そして、美しい装飾の施された中心部分には、ある言葉が綴られている。

【悲しみに耳を澄ませ……どうか、その手で希望を差し伸べる勇気を――】

 この文言は、これまでの厳しい状況を潜り抜けてきたボースウィン領の人々から言葉を募り、お城の人たちと一緒に選んだ。
 これを見て、よかれと思ったことを行動に移せる人が……そしてそれを快く受け入れられる人たちがひとりでも増えることを願うばかりだ。
< 1,178 / 1,187 >

この作品をシェア

pagetop