魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 厳しい仕事に付いているのか、手荒れに、ヴェロニカに立ち向かった時の傷痕もいまだ痛々しい。聖属性魔法で、その傷んだ部分を治していく。それから、力いっぱい叩いたほっぺたは――まあいいか。

「魔法が……使えるようになったのだな」
「ええ……」
「本当に……大きくなった」

 その言葉だけで、互いに家族のことを考えているのが伝わってくる……。
 治療が済むと、私たちはお母さんのお墓の前に並び、誰ひとりとしてなにも言わずにしばらく物言わぬ墓石を見つめていた。だが……。

「……く、ぅぅ……」

 父が膝をがくりと落として背中を振るわせ始めると、スレイバート様は心配そうな私を連れて下がり、そっとその背中に告げた。

「またいずれ……こいつと一緒にあんたに会いに来るよ。そうしたら、母親の思い出でも、教えてやってくれ。それに……一番近くで子供の悩みを聞いてやるのは、親の役目だろ」
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