魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 私は膝を落とし、驚かせないようにゆっくりと話しかけた。

「どうしたの? お父さんやお母さんとはぐれちゃった?」
「……うぅぅぅ……ままがぁ……! びぇぇぇぇん……!」

 しかし少女は、いきなり訪れた私の姿に警戒したのか、より大きな声で泣き始めてしまった。こうするとどうしたらいいのか、ハンカチ片手にうろうろするしかない私だ。

「なにしてんだよ。ほらっ――」

 すると、後ろからやってきたスレイバート様は、おもむろに少女を担ぎ上げて肩の上に乗せると、朗らかに笑う。

「こういうのは高いところから探したら早いって相場が決まってんだ。どうだ、遠くまでよく見えるだろ」

 すると、高い景色に気をよくしたのか、機嫌の戻った少女はその後すんなり事情を話してくれた。どうやら、一家で王都の方からこちらに観光にやってきたはいいが、つい見慣れない景色に興味を奪われている内に、人混みに押し流されて親御さんとはぐれてしまったのだとか。
< 1,181 / 1,187 >

この作品をシェア

pagetop