魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
(そんなに急いで変わる必要はないのかもしれない……)

 これまでは、大嫌いな自分を変えたい……そんなことばかりを考えていた。
 けれども……こんな私の中にも求められる部分があるのだとしたら、どんな小さなことでも、それは大事にしていきたい。

 ――話は変わるけれど、今後私はあるひとつの取り組みに挑戦しようと思っている。
 人を募り、帝国中で困っていたり、助けを必要としている人を陰から支える集まりを作りたいと思い立ったのだ。

 闇の精霊との約束のこともあるため、今回の事件の功労者という立場を利用して皇帝からも活動のご許可をいただいたくらいに計画は本格的に進められている。
 スレイバート様を始めとしたボースウィン領の人たちや、ラルフさんとカヤさん、ゲルシュトナー公バルテン様なども協力を表明してくれていて……思ったよりも大所帯になりそうな予感。

 でも、そんな中でも……。お互いを尊重し合える人たちが集まって、各々の才能を発揮し、かつ伸ばしていけるような――。
 たくさんの人たちにその活動を受け入れてもらえるような、息の長く続く団体になればいいと、そんなことを考えているのだった。

 限りある命なので、夢は見ないと損――そんな風に、前向きに気持ちを切り替えた私は馬車に乗り込むと、スレイバート様と手をしっかりと繋ぎ、笑い合った。
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