魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 おかしいなあと首を傾げていた私は、ふいに、とくっと――。
 感じた……胸元のやや下あたりから、自分のものとは違う、温かな生命の微かな鼓動を――。

(まさか……)

 もし……万が一、そんなことがあるのだとしたら……。

(もしかしたら――来年は……びっくりするような出来事が起きるかもしれませんよ)

 スレイバート様の顔を見上げていた私の表情が、徐々に微笑みに変わっていく。

「ん……なにか言ったか?」
「……いいえ」

 口の中の呟きは、誰にも届なかったはず。今はまだ、言えないけど――。
 未来に繋がる幸せの芽が私の身体の中で芽吹き始めているのだとしたら――なんて……奇跡的なことなんだろう!

(この世界って……すごい!)
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