魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 生きることは基本的に努力の連続で、常に私たちはいっぱいいっぱい。
 でも。決して失ったり奪われたりしてるばかりじゃなく、生み出される成果もある。
 それはきっと、自分や周りの人の喜びへと紐づいていて……そのことを今、私は直接体感できている――。

 私の中でまたひとつ生まれた可能性という名の希望……。
 この世界では、それと同じようなことが、いたるところで毎時間、毎秒いくつも起こってる。
 それらは時の流れと一緒に混ざり合って、これまでもこれからも――絶え間なく色々な光景を無限枚のチケットに変えて、世界中に振り撒いてゆくのだろう。

(なんだろう……ドキドキしてきた)

 私は不思議そうにしているスレイバート様にニコリと笑い、両手を受け皿のようにして持ち上げた。見えないけれど、きっとそこには今……私の身体に宿った小さな奇跡と、それに連なる遠い彼方の出来事たちで溢れてる……!

 この魔法のチケットたちは一体、どんな未来をこれから私たちに見せてくれるだろうか――楽しみは尽きなくて。

 私はそれを慈しむように大切に手のひらに閉じ込めると、早く明日が来ますようにと祈るのだった。


(~おしまい~)
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