魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 実際に戦ったり怪我人を助けたりしたのは彼らなのに……。

「それは間違いないことだ。あなたがいなければ、瘴気で強化された魔物たちに兵士たちはいずれ突破され、街に大きな被害が出ていただろう。素直に自らの働きを誇っていただきたい」

 両隣のふたりに褒めそやされただけで、私は過剰な評価で心臓が変な音を立てていたが、町長にまでも嬉しそうな瞳で見つめられれば、ここは黙って頷いておくしかない。

 彼は異常事態を受けてすぐ、近隣の集落やボースウィン城に戦える人材の収集を要請していたらしく、街にも兵士や傭兵といった人々が続々と集まって来ている。結界が破壊されたために街の守りも手薄な状態だが、この様子なら、再度襲撃があってもしばらくは大丈夫だろう。

「単なる噂だと真に受けないようにしていたが、まさしく聖女の名にふさわしい能力と献身だった。今宵はぜひ心づくしのもてなしをさせていただこう。このまま我が家に泊まり、ゆっくり疲れを休めていってくれ」
「あ、ありがとうございます」

 どうしても、慣れないむず痒さを感じてしまうけど、力になれて良かった。
 感謝を快く受け取った私の隣でルシドが難しい顔で腕を組んだ。
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