魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「私も、あなたみたいにスレイバート様たちの力になれるように頑張るから……これからも力を貸してくれる?」
「ええ、もちろん!」

 気持ちはしっかり伝わったのか、ルシドは満面の笑みで応え、私を廊下の突き当りの扉の前まで連れて行ってくれる。

 そこで彼は簡単に部屋の説明をしてくれるとすぐに出てゆき、私は綺麗に整えられたベッドの上でごろりと横たわった。
 ここに来る前は、ただ単に命令する人が変わるだけで、実家と同じ……もしくはそれよりも辛い生活が待っているのだと思っていた。けれど、ここに来て私はやっとひとりの人間として存在を許され、認められた気がする……生きる目的を探す自由を。

 だから私は、それを与えてくれた彼らに報いたい。
 ならばなによりも優先すべきことはただひとつ――スレイバート様の呪いをどうにかして治すこと。

 果たしてそれが可能なのかどうか、今は考えない。

 明日からに希望を持ち全力を尽くすために、とりあえずは安らかな眠りにつこう――そこまで考えたところで、大量の瘴気を吸って限界まで疲れていた私の意識は途切れた。

 ちなみにこれは余談だけれど……この後、私が結局翌日まで寝過ごして豪華な夕食を食べ損ね、枕元でテレサにだらしない寝顔をにやにやと見られていたのは言うまでもない。
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