魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 スレイバート様も喜んでくれるかもと、なるべくいい方向に考えることにして、ルシドと明るい顔で残っていた空箱を外に出して行っていたところだった。

「――ルシド様! ご報告がっ!」

 さっきまでの空気を一変させたのは、慌ただしく駆け込んできた……見事な操車でレーフェルの街まで送り届けてくれたあの御者さんの一言だった。

 でも……私は――。
 ボースウィン城から火急の連絡――そう聞いた瞬間反射的に耳を塞いでしまう。

 聞きたくない、そう思ってしまったのだ。あまりの必死さがその後に続く内容を予感させるのに十分過ぎて――。

 なのに悲痛な声は、それを貫通し、容赦なく鼓膜に響く――。

「スレイバート様がお倒れになったそうです……! 大変危険な状態で、すぐにお戻りになられるようにと――」
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