魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「私が死ぬ代わりに、お母さんが生き返ってくれたらいいのに……」

 そんなことはあり得ないとわかっていつつも、つい考えてしまう。もし賢者と呼ばれた母の方が生きていたなら、きっと父もこの国の偉い人たちも、みんなが幸せになって丸く収まっていたんだろうな。そう思うと、どうして私なんかが産まれてきてしまったんだろうと、胸が苦しい。

 しばらくそうして俯いていたが、いつまでぐずっていても仕方がない。
 そっと扉を閉めて井戸に向かい、どうせ誰もいないんだからと下着姿になって髪と身体に付いたお酒を落としていく。
 その後ドレスを水で洗って干し、空を見上げた。

 今日の太陽は馬鹿にしてるみたいに明るくて、私の気分とは真反対だ。
 それが無性にやるせなくて、私はこの世のすべてを司ると信じられている存在に向けて、ぼそっと文句を言った。

「ねぇ精霊様……私そんなにあなたに嫌われるようなこと、しましたか?」 
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