魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 ――あれから、俺の体調は嘘のようによくなっていった。

 夜ごと呪いの痛みにうなされることもなく、定期的に身体を見てくれている医者にも健康体そのものだと、ひどく驚かれた。長年の体調不良でやつれた肉体さえ元に戻れば戦いだってなんなくこなせるだろうと、太鼓判を押されたくらいだ。

「悪い夢を見てたみてーだ……」

 そんなことをぽつりと言ったせいで、隣に近付いたテレサがはっと口元を抑える。

「無理もないです。私も……手の施しようがないと言われて、心が諦めかけていましたから」
「世話かけた」

 じいっと、シルウィーの顔を覗き込んでいたテレサの頭に手を乗せると、瞳がみるみるうちに涙で潤んでくる。
 しかし妹はぐっと堪えると、「お身体を拭いて差し上げたいので、水を汲んで来ます」と言って外に出て行った。まだしばらくは、あいつも感情の整理がつかないだろうが、いずれまた元気な顔を見せてくれるだろう。

「ったく、嬉しそーな顔で寝こけやがって……」
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