魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 少々大げさだけれど、彼はどんと胸を叩いて請け負うと、テレサにも敬礼した。

「では、行ってまいります。テレサ様」
「ルシド、くれぐれもお姉様から目を離さぬように。何かあったら、お兄様がただじゃおかないんだから」

 するとテレサは、険しい目つきでルシドにしっかり釘を刺す。

「心得てます。では……シルウィー様、こちらへ」

 長年の付き合いで遠慮のないテレサに苦笑をすると、彼は私に手を差し伸べ、在庫となる魔石を積み込んだ馬車に上がらせてくれた。

 彼みたいな腕利きを私なんかに付けてもらうのも気が引けるけれど、お蔭様でもし魔物に遭ったりしても心配はなさそうだ。
 そのことがありがたく、私は頼もしい気持ちで座席に乗り込み、窓から顔を出してテレサたちに大きく手を振った。

「それじゃあ、行ってくるね!」
「お気をつけて……!」
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