魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 そして、翌日……。
 執務室にお邪魔した私は、彼にしっかりと自分の意向を伝えた。瘴気を身の内に取り込み、魔石にそれを魔力として移せるるこの能力を生かして、私は街で普通の暮らしをしてみたい、と……。

 今までぬくぬくと貴族家で暮らしてきた、なにも知らない私のことだ。てっきりスレイバート様は難色を示すかと思ったけれど、彼はそれを条件付きで受け入れてくれた。そしてテレサというお目付け役にルシドを初めとした数人の騎士たちに見守られつつ、私はレーフェルの街で新しく、いち領民としての生活を送ることになった、というわけである――。



「――じゃあテレサ、私はルシドと一緒にサンクリィの街まで出掛けてくるから、お店の方をよろしくね」
「はい。お客様がいらっしゃったら、こちらで対応しておきます」

 当店では魔石の販売と共に、使用済みの廃棄魔石の買取なども行っている。そちらの窓口をテレサに任せ、頼もしい護衛の騎士たちに彼女のことをお願いすると、私はルシドの緑色の目を見つめて微笑んだ。

「それじゃあ……不慣れな道のりだけれど、案内お願いするわ」
「ええ、お任せください。我が名に懸けて、御身を命懸けで守らせていただきます」
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