魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「ひぅ……!?」

 その内部でもぞりと動いたものがいきなり寄ってきてびくっとしたが、すぐに私は胸を撫で下ろした。

「……よかった、君も無事だったのね」

 その姿を見てようやく、私は自分が崖から落下したことを思い出した。
 レーフェルの街で魔物に突き落とされたのがつい最近だというのに、よくもまあ懲りずに同じようなことを繰り返したものだ。

(ああもう。私ったらなにやってるんだか……)

 運良く助かったからよかったものの……。
 自分の迂闊さが嫌になり、その後の記憶を思い出そうと頭を抱えていると、隣に座り込んだ少年が教えてくれた。

「あのお兄ちゃんが、助けてくれたんだ」
「……ルシドが? そっか……」

 言われてみれば、確かに途中で何かに包まれ、ふわりと浮いたような感覚が頭に残っている気がする。
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