魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 でも、空が明るいだけでずいぶんと印象が違う。

「そういや……お前とは一度来たんだったか」

 すっと隣に並ぶ気配を感じて見上げると、スレイバート様が無表情で立っていた。だが、その瞳は、今はここからはっきり見えるあのボースウィン城に、湧き上がる感慨を抑えているようにも見えた。

「さあさあ、なにをしんみりしてらっしゃいますの? 貴重な時間は有効活用しませんと! もうクラウスが、場所を抑えてくれてありますのよ!」

 私はテレサの指差す方向を見てぶふっと吹きだした。
 丁度お城の全景が良く眺められる位置に、真っ青でゴージャスなブルーのシートがしっかりと設置されていたのだ。背景の青空に、クラウスさんのばっちり白い歯を光らせた笑顔が透けて見える気がする。
 ちなみに本日も彼は、スレイバート様に休んでもらうために肩代わりした仕事に忙殺されているようで、密かな彼のサポートにはこの先頭が上がる気がしない。

「ほら、ルシドも……!」
「え、ええ……」
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