魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「シルウィーお姉様~、こっちです! ここからが一番よく見えますわ!」
「わあぁ、壮観! 雰囲気だけで圧倒されちゃう」
「――せぇい! やぁ、はあっ!」
「――振りが甘いぞ! どうしたお前ら、しばらく戦がないからと気を抜いているんじゃないだろうな! 素振り、後百本!」

 騎士達が息を合わせて放つ掛け声に大気が震え、こちらまで背筋が伸びてくる。
 私が隣に並ぶと、満面の笑みのテレサが自慢げに腰に手をやった。

「そうでしょうそうでしょう。なんといってもボースウィン領の騎士団は国内でも三本指に入るほどの精鋭騎士団だと言われていますから」

 ここは、お城の外に設えられた訓練場の見学スペース。目の前では今まさに、大勢の隊列を組んだ騎士たちが真剣に訓練に取り組み、そこへ馬上の指揮官からの信じられないくらい大きな声が飛び交う。

 今まで彼らはボースウィン城に蔓延る瘴気を避けるため、領内各地の街に散って、スレイバート様の回復を待ち望んでいた。それが叶ったことで大半がこちらに再集結し、こうして部隊全体での訓練が再開されることとなった。
 それがなかなか見事なもので、一度ぜひ見てやって欲しいとテレサに頼まれ、こうして本日ふたりして見物に訪れたというわけだ。
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